先週は、がんでの障害年金での困難事例などを議論し合う研究会に参加してまいりました。
がんで障害年金を請求する場合には、診断書はどの診断書を使うべきなのか等検討する事項が多くあり、社労士によっても考え方は様々です。
がんの障害年金についてのお問い合わせの中で、「がんでステージⅣなんですが、、」とか「末期がんなので請求できますよね?」というものもよくありますが、単に末期がんだからとか余命宣告されているからという理由では障害年金は認定されません。
このことは日本年金機構の文書によっても、「予後については原則としてあまり重視しない」と記載されております。
がんは、
ア 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害
イ 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害
ウ 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害
の3つに区分され、一般状態区分表(※)の区分と合わせて認定されます。
(※)一般状態区分表
区分 | 一 般 状 態 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ |
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ |
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ |
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ |
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
がんの各等級に相当すると認められるものとして一部例示すると次のとおりです。
障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
1級 | 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの |
3級 | 著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの |
がんの機能障害がはっきりと検査数値等で診断書上に表すことができれば、他の障害と同じように認定されますが、機能障害よりも全身の衰弱や倦怠が強く、それを障害として認定してもらうということは容易ではありません。
衰弱や全身倦怠は見てわかるものではなく、また検査数値等で表すことが難しいからです。
障害認定基準には、どのような状態を衰弱や全身倦怠とみなすのかということは一切書かれておりません。
体重が減少していたら衰弱とみなすのか、血液検査で栄養状態が悪いとされれば衰弱とみなすのか、そのようなことも曖昧です。
がん(悪性新生物)で障害年金を請求できるということが認知されつつあり、がんでの請求も増えておりますが、思うような等級に認定されていないことも多い現状です。
がんでの障害年金請求は今後ももっと増えていくと思いますし、様々な事例を研究しつつ、最善の結果が出るように当事務所も努力していこうと思っております。